熱中症と聞くと皆さんはどんなイメージがありますか。
炎天下に長い時間いたり、マラソンなど長時間の運動をするイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
確かに熱中症は屋外でもおきますが、熱中症が発生する場所で最も多いのは自宅です。
特に高齢者では暑さへの感覚が低下しているため、気がつくと熱中症になってしまっている場合があります。
熱中症は命にかかわります。
そのため、きちんと対策することが大切です。
今回は熱中症の症状と対応、熱中症対策についてご紹介します。
出来ることから始めて熱中症にならないようにしましょう。
熱中症とは?
熱中症とは体温が上昇し、汗や皮膚温度で体温の調節ができず、体内の水分や塩分(電解質)量が崩れて、体温や体液の調節機能が働かなくなってしまう病気のことです。
高齢者になるほど重症化しやすいと言われています。
熱中症の要因
熱中症になりやすい要因として、体による要因、環境による要因、行動による要因の3つの要因が考えられます。
これら3つの要因が絡み合い熱中症を引き起こします。
それぞれの要因に分類されるのは下記の通りです。
体による要因
- 脱水症状(下痢や嘔吐によるものも含む)
- 二日酔い
- 寝不足
- 乳幼児や高齢者
- 認知症のある人
- 糖尿病や精神疾患などの持病のある人
- 肥満の人
- 低栄養状態(食欲がなく食事の量が少ない)
- 汗がでない
- 皮膚からでる熱が少なくなる
環境による要因
- 日差しが強い
- 気温が高い
- 湿度が高い
- エアコンのない部屋
- 締め切った屋内
- 無風の日
- 急に暑くなった日
- 熱波の襲来
行動による要因
- 水分補給の不足
- 長時間の屋外活動
- 激しい運動
- 慣れない運動
熱中症の症状と対応
熱中症はⅠ度(軽度)、Ⅱ度(中度)、Ⅲ度(重度)に分けることができます。
熱中症は早期発見と重症化の予防が大切です。
まずは意識がはっきりしているかを確認し、少しでも意識がおかしい場合はⅡ度(中度)以上と判断し、速やかに医療機関へ搬送しましょう。
Ⅰ度(軽度)
熱中症の初期症状としてめまいや立ちくらみ、大量の発刊で汗が止まらない、筋肉痛のような痛みが現れます。
涼しい場所に移動し、服を緩めて身体を冷やします。
Ⅰ度の場合は水分と塩分の補給をして安静にしていると多くの場合回復します。
回復がみられない場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
Ⅱ度(中度)
頭痛や吐き気を伴い、倦怠感や虚脱感を感じるようになり、集中力や判断力が低下します。
また、意識があっても何となく受け答えがおかしかったり、自力で水分補給ができない場合もⅡ度に分類されます。
早急に医療機関への受診が必要です。
救急車を呼び、すぐに医療機関へ搬送しましょう。
Ⅲ度(重度)
体温の異常な上昇に伴い、意識の消失がみられ、痙攣がおきる場合もあります。
また、意識があってもまっすぐ歩けなかったり、呼びかけに対し返事がおかしくなっています。
救急車を呼び、すぐに医療機関へ搬送しましょう。
救急車を待つ間に応急処置をします。
涼しい場所に移動させ、服を緩めて水で濡らしたタオルなどで身体をおおい、うちわなどで風を送って身体を冷やします。
また、水で濡らしたタオルや氷のうなどで首や脇の下、足の付け根(股関節)を集中的に冷やすと効果的です。(太い血管が走っているため)
Ⅲ度の場合は入院して必要な処置を受ける必要があります。
場合によっては集中治療室での処置が必要になります。
熱中症対策
熱中症の対策は以下のようにさまざまな方法があります。
取り組みやすいことから始めてみましょう。
水分補給
喉が渇く前にこまめに水分補給しましょう。
1日に1.2Lの水分摂取を目安にしましょう。
スポーツなど屋外で活動する人はさらに水分補給する必要があります。
また、高齢者は喉の渇きを感じにくくなっているため、1時間に1回コップ1杯の水分を取るなど意識して水分補給をするようにしましょう。
塩分摂取
水分とともに塩分も失われています。
水分だけでなく、塩分も摂取するようにしましょう。
運動後は0.1~0.2%の食塩を含んだ飲料をとるようにしましょう。
スポーツ飲料は食塩や糖分を含んでいるため、運動後に飲むのに最適です。
もし自分で手作りする場合は1Lに1~2gの塩を入れて、好みで砂糖を加えると運動で失った糖分も補うことができます。
また、塩分を含む飴や梅干しを食べるのも効果的です。
食事
食べ物
熱くなると食欲がなくなり菓子パンなどで済ませがちですが、汗をかいたり、止めたりする体内機能には多くのエネルギーが必要になります。
身体に必要な栄養補給のために、1日3食バランスの良い食事を心がけましょう。
熱中症に有効な栄養素はカリウム、ビタミンB1、ビタミンC、タンパク質です。
カリウムを多く含むのはバナナなどの果実類や里芋などの芋類、ほうれん草などの野菜、アーモンドなどの豆類、豚肉などの肉類、カツオなどの魚類などです。
ビタミンB1を多く含む食材は豚肉や玄米、うなぎ、大豆、キノコ類です。
ビタミンCを多く含む食材はジャガイモやトマト、ブロッコリー、ほうれん草、レモンなどです。
タンパク質を多く含む食材は大豆製品や肉、魚、乳製品などです。
運動
夏になると暑さのため、運動不足になりがちです。
しかし適度に汗をかくことは、体温の調節の機能を鍛えるために必要になります。
朝方や夜など比較的涼しくなる時間帯に適度な運動をするようにしましょう。
睡眠
日々の疲れを回復させるためにも十分な睡眠をとるようにしましょう。
熱帯夜が多くなる季節はエアコンをつけっぱなしにすることも必要です。
この時エアコンの風が直接風が当たらないように注意しましょう。
住まいの環境
直射日光や反射光を防ぐ
植物を使った緑のカーテンや遮光フィルムを窓に貼ることで直射日光や反射光を防ぎ、部屋の温度上昇を軽減することができます。
エアコンや扇風機を上手に使う
昼夜を問わずエアコンなどを付けて、温度の調節をするようにしましょう。
エアコンの吹き出し口近くに扇風機をおいて部屋全体に冷気がいくようにすると、より早く部屋の温度を下げることができます。
夜にエアコンをつけっぱなしにするのが嫌な人は冷気が直接当たらないように風の向きを変えるかタイマー機能を利用しましょう。
温度や湿度がわかるようにする
温度や湿度が分かるタイマーを設置して、ひと目で暑さがわかるようにしましょう。
2か所の窓やドアを開ける
朝方など比較的涼しい時間帯には窓やドアを2か所開けて、風の通り道をつくって風通しを良くしましょう。
出かける際の注意点
出かける際は以下の4つの注意点を守って行動しましょう。
特に日差しを直接浴びないように工夫して、こまめに休憩することが大切です。
- 風通しの良い服装を心がける(汗の乾きやすい素材)
- 帽子を被るもしくは日傘をさすようにする
- 飲み物や扇子を持っていく
- 人との間隔が2メートル以上離れた場合には時々マスクを外す。
まとめ
熱中症とは体温が上昇し、汗や皮膚温度で体温の調節ができず、体内の水分や塩分(電解質)量が崩れて、体温や体液の調節機能が働かなくなってしまう病気のことです。
熱中症の要因には体による要因、環境による要因、行動による要因の3つがあります。
熱中症の症状にはその症状によりⅠ度(軽度)、Ⅱ度(中度)、Ⅲ度(重度)に分けることができます。
熱中症対策は①水分補給②塩分摂取③食事④運動⑤睡眠⑥住まいの環境⑦出かける際の注意点の7つの対策があります。
取り組みやすいものから始めてみましょう。
厚生労働省から熱中症を防ぐための普及啓発用資料をダウンロードすることができます。
いくつか種類があるので、下記から必要な資料をダウンロードして熱中症対策をしましょう。
熱中症を防ぎましょう 普及啓発用資材
(リンク先:厚生労働省 熱中症予防のための情報・資料サイト)
今回は熱中症の症状と対応、熱中症対策についてでした。
今年の夏も暑い日が続きます。
油断はせずにしっかりと注意し、この夏も乗り切りましょう。
今回の記事が皆さんの役に少しでもたてたら嬉しいです。